図解編フェルドスパー
長石族
さあ厄介な長石族.
もちろんビーズや宝石においても色々なものがあって見分けが難しかったりしますが
少し鉱物学、物理学のほうから調べようと思い検索したとたん、私死ぬんじゃないの?というくらい
頭が痛い目の回るような文献が現れました.理解力不足のため間違っているかもしれませんが
私なりに翻訳してみた結果です.結晶の形や電価のお話は今回パパパパーっとパスで!
あ、因みに私理系が大の苦手(世界史以外全教科嫌いでしたが)だったので、長石の調べ物で目から鱗が
落ちて大発見のように書いてますが、この頁に書いた事が常識範囲内のことでしたらご容赦のほどを.
●固溶体
長石族を語る上でハズせない言葉.詳しくは上の白文字をクリックしてみて下さいね.
長石はマグマなどの高温下(半端ないっすよ、1000℃以上とかそのレベル)でドロドロになってます
がそのまま冷えると固溶体の結晶となります.あまりにも粒の大きさが揃わないとき&メルティング
ポイントが違うときは、段々と冷える過程で「水と油」のように分離してくるそうです.
この冷えることによる分離はムーンストーンやペリステライトの不思議な光に関係してきます.
●長石族の図を簡単に読むぞ!
私と同じく長石の調べ物をしたことある方ならこの図をご覧になったことがあるかと存じます.
図1

←図1はそれぞれ3種類のフェルドスパーの関係を
表してる図です.3種類の間には多種類のミックス
フェルドスパーがいましたね.「アルバイト」なんて
言われてもねぇ.なので和名表記でもう少し詳しく
見てみましょう.

図2
うわーとたんにゴチャゴチャした〜
はい、長石には他にもバリウムを含んだものとか色々あるのですが、角の3つは宝石やビーズ
になる長石の素です.3つとも基本的には同じ原材料でできたほぼ同形の結晶です.
原材料の基本レシピをもう少し詳しく書くと→アルミ+シリコン+酸素でできた
シリケイト鉱物です.
そこに
Kカリウムが加わると=「カリ長石」
Naナトリウムが加わると=「曹長石」
Caカルシウムが入って=「灰長石」
※純粋にカリウムだけしか入らない長石は実際には無いそうです.必ずナトリウムを伴います
高温下では3つそれぞれが微妙に溶け合って固溶体を作ってます.そして段々と冷えて結晶すると
ラブラドーライト,ペリステライト,アマゾナイト,ムーンストーンなどに変身するのです.
ミリンと醤油とダシみたいな感じですね.この3つがあれば色々作れますもんね!
ところで図1,2のようなフェルドスパーの図、
必ずと言っていいほど三角ですよねー.
なんで?
端成分の数が関係してるんだろうとは思ったのですが不可解だったので.
図3

調べてみましたよー
図形出ましたね.なんか懐かしい...
先ずは正三角形の辺の二等分ど真ん中から垂直線を描く.
3つともコレをやると、ちょうど真ん中で交わりますね.
そして3本の垂直線は同じ長さになります.
それぞれの角と対岸の辺から出ている垂直線を1チームとしてみましょう.
例えば上の図だったら、屋根になる一番上の角と底辺から出ている垂直線.
これを長石の図に当てはめます.屋根の角のとこには
カリ長石がありましたね.
そして底辺から出ている
垂直線の長さはカリ長石の含有割合になります.
左下の角は
曹長石.2時の方向を向いている垂直線は曹長石の含有割合です.
右下の角は
灰長石でしたね.10時のほうを向いている垂直線は灰長石の割合.
ということで上の図3は三種類がちょうど同じ割合で混じったフェルドスパーになります.
(後述しますがそんな石はありません)
3本の垂直線が交わる白点

これはそのフェルドスパーの成分含有における位置を表します.
例図4

@
オリゴクレース(サンストーンなど)は、Na長石長め〜/Ca長石ちゅっくらい/K長石ちょっと入ったりもしちゃうの?
A
正長石は殆どK長石でできてるんですね/Na長石は短いけど微妙に長さがあるので入ってるって事ですね.
こうやって色々な種類のフェルドスパーの白点

をマークしていくと、よく見かける図5↓のようになるようです.

図5
レーダーみたい!
この三角の各枠に当てはまる長石の
名前はコチラ→
about_stone/feldsper.html
に載せております.
●混じり方についてです
図2の矢印

と

の 色分けが気になった方もいらっしゃる
かも知れませんね.色分けしたのは、2つの矢印が違うグループとして括られており、それぞれ
違った構成で色々な長石を作るようなので色分けしてみた次第です.
図6
ピンクの

は「
斜長石グループ」といいます.
ご存知、このグループには曹長石と灰長石の固溶体のカクテル長石がいっぱいあります.
例えばオリゴクレース,アンデシン,ラブラドーライト,バイトゥナイトなどなど.
図2でも述べましたが全ての長石は共通して[アルミ+
シリケイト]と、基本材料は同じです.

結晶構造と電価の関係で、そこにそれぞれスパイスが
加わるわけですが(頭痛いので省略!笑)
斜長石グループにおいては、曹長石のスパイス
[
Na]ナトリウムイオンと、灰長石のスパイス[
Ca]
カルシウムイオンは大きさが殆ど同じです.
(0.09…ナノメートル.と普段縁のない単位ですが)
なのでお互いの構造を崩すことなく任意の割合で
混ざり合うことができるそうです.その結果
基本的に
ピンクの矢印には自由なパーセンテージの
固溶体が存在するらしいのです.
(後に述べますが例外もあるそうです→
コチラ)
水色の

は「
アルカリ長石グループ」といいます.
アルカリ長石グループは
カリ長石と曹長石が同居してできております.
↓
※実際カリウムしか含まない長石は無いので、以後カリウム率の高い「正長石」で記述します
あ、因みにアルカリ長石グループに所属するものは大体以下の感じです.
オーソクレース,アデュラリア,サニディン,マイクロクリン(アマゾナイト含む)などです.
マグマの熱の下では正長石と曹長石は仲良く溶け合ってましたが、それぞれ固まる温度が
違います.地中奥深くの熱いところでは、この固溶体は長い年月をかけて冷えてゆきます.
そして曹長石から先に固くなっていってしまうのです.結果的に固溶体でいられることができず
正長石と曹長石は徐々に疎遠になってしまいそれぞれ薄い片状の層になってしまいます.
なんとなく悲しいですね〜
層といってもミルフィーユのようにパリパリ剥がれるものではなく層の境目はガッチリと密着しています.
いっぽう火山噴火などで一気に地上に飛び出したアルカリ長石の固溶体は、分離する暇が無く
そのまま(固溶体のまま)固まってしまうそうです.こっちのほうが幸せなまま固まってったんですね.
しかし後者のアルカリ長石固溶体のお話はあまり見つけることができず、詳しくはわかりませんでした.
さて前者の「層」をなすアルカリ長石のうち、稀に光の波長にピッタリな層厚ができるものもあり、
これがムーンストーンの不思議な光のもとなんだそうです.
●月長石の不思議な光
図7
ムーンストーンの頁で述べましたように、
アルカリ長石グループに所属する不思議な光を放つ石の
ことを「ムーンストーン(月長石)」と呼ぶそうです.なのである特定の長石の名前ではないんです.
上でお話しましたミルフィーユ層は
ラメラ構造といい、月長石の不思議な光はカリウム含有の
正長石と、ナトリウム含有の曹長石のラメラ構造が関係しているらしいのです.
そしてそのラメラ構造に光が射すとある現象が起こるそうです.「
光の散乱」とういフレーズが
調べ先文献には必ず出てきます.
月長石のぼんやり月のような不思議な光は
アデュラレッセンスと呼ばれるもので、光の散乱が
関係しているらしいのです.アデュラレッセンス(アデュラー)の色は白か青のみで、宝石界では
青の光を放つムーンストーンのほうが高価とされるようです.
ところでムーンストーンの光の散乱について、こんな例え見たことありませんか?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
極上ブルームーンストーンの青は「
レイリー散乱」と呼ばれ空が青く見える原理と同じ.
ムーンストーンの白い光は「
ミー散乱」とよばれ雲が白く見える原理と同じ.
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
物理に明るい方なら「あそう」ですが、この例えこれだけでは全く理解できませんでした.
空が青い.雲が白い.なんて言われるとまるで違う現象が起こっているのかと思ってましたが
実は(私にとってはですが)同じような現象だったんです.ではまず光の色について.
光にはご存知「赤橙黄緑青藍紫(せきとうおうりょくせいらんし)」があり波長の長さが違います.

長い

短い
赤より長い波長は赤外線.人間の目には見えません.紫より短いのは紫外線.同じく可視光線外.
さて、七色の光が進む先に邪魔者(散乱中心)が現れました.
邪魔者の大きさは、赤や緑の波長は乗り越えられる大きさだけど青や紫にはちょっと邪魔な感じ.
下の絵はいい加減です.レイリー散乱の邪魔者の大きさは、波長の約1/10だそうです.
図8

「
レイリー散乱」
すると青の光の波長は邪魔者にぶつかり砕け散ります.(←微妙に間違った表現です.もう少し
詳しく「散乱」のこと載せてます.
energy.html#WAVE)
ということは空の青は、太陽がハワイの方に放った光の中でも上空の邪魔者に躓いた紫や青の波長が
散乱して、日本人の目に飛び込んで来るものだったんですね〜(その頃ハワイでは残りの赤っぽい光
しか見られません.コレが夕焼けの赤です)
あっ因みに、青よりもっと早い時点、上空高くで紫の多くは散乱しちゃうそうです.それと人間の目の
構造も手伝って、紫より青が強く映る=大気は青なんだそうです.
白いアデュラレッセンスのほうは雲に例えられてましたが、白い光の散乱「
ミー散乱」についてです.
上のレイリー散乱と同じ.ただ邪魔者が大きいのです.大股の赤の波長にとってもちょっと邪魔くさい.
(ミー散乱の邪魔者の実際の大きさは、波長と同じくらいだそうです)
図9
赤が無理ならそれより小股の全ての色が散乱してしまいます.色がミックスすると、まるでひとつの白い
光のように見えることは周知の事実ですね.雲の水蒸気は赤にも若干大きすぎる邪魔者だったのですねー.
ムーンストーンに戻ります.
月長石の内部では、層の構造や層に含まれる微細な粒によって上の
ミー散乱と
レイリー散乱が
起こっていると考えられているそうですが、この微細な粒が何であるかはまだ分かってないということです.
そして青の光には
レイリー散乱の他に「光の干渉」も関係しているのではないかということです.
ムーンストーンは正長石と曹長石のミルフィーユのようなラメラ構造でできてましたね.
青の光が干渉によって強まる条件は、層の厚さにあると考えられているらしいのです.
正長石に入っている主なスパイスは[
Kカリウム],曹長石のスパイスは[
Naナトリウム]
Kカリウムイオンの大きさは
Naナトリウムのそれよりかなり大きいんです. え?どれくらいかって?
Kカリウムイオン半径 0.133nm
Naナトリウムイオン半径 0.097nm
「nm」って・・・(笑)かなり大きいと言いつつミクロの世界どころじゃない「ナノメートルの世界」
こんな微弱な違いでも、2つの長石が作るミルフィーユの層には厚みの差がでるのでしょう.
正長石の層は若干厚すぎて、青の光の波長には都合が悪いのかしら?
曹長石の層はその薄さゆえ、青の光が「光の干渉」をおこすにはちょうど良い厚みなのではないかと.
分析の結果、曹長石の割合が多いムーンストーンは青く光るそうです.
大変貴重なセイロンムーン=スリランカ産ブルームーンストーンは、曹長石の割合が多いんですって.
このようなことが書かれていたのですが、実はいまいち私も分かってません.
●斜長石の妖しい光
随分と上で

の
斜長石グループは組み合わせ自由な固溶体を作る.
と書いたのですが例外もあるそうです.
ある環境化において、とある成分割合の斜長石は何故か個溶体でいることができずに分離した状態に
なってしまうらしいのです.
斜長石グループの中でその不混和領域は3箇所あるらしいです.
Peristerite intergrowths - An2-15 (albite to oligoclase)
Boggild intergrowths - An47-58 (andesine to labradorite)
Huttenlocher integrowths - An60-85 (labradorite to bytownite)
※Anと数字=アノーサイトの含有率だと思います.
海外の論文からの引用なのですが、それによると一箇所はペリステライト不混和という領域.
ちょうど
ペリステライトの曹長石&灰長石のミックス率は不混和を起こすらしいですねえ.
よってペリステライト内は分離した層の構造になっており、これが大変美しいペリステライトの
光に関係するらしいのです.もうひとつはべッジルド?ボッジルド?不混和領域.アンデシンと
ラブラドーライトにまたがった領域.残りの一箇所はラブラドーライト〜バイトゥナイトの辺りの
フッテンロッハー不混和領域.
このことから、

やっぱラブラドーライトの成分領域では分離が起こる場合があるみたいですね.
ラブラドーライト(曹灰長石)は曹長石と灰長石がほぼ同じ量混ざった長石です(若干灰長石が多い).
中でも妖しく光るものは上記のとおり、不混和によって内部に層ができているようです.ところが
この説とはまた別の説で、固溶体ではあるが層状の結晶になってしまった.という記事も読みました.
つまり前者は2種類の長石が層になっている説.後者は同じ長石が層状に結晶しているという説.
うわ〜わかんねぇ〜
ま、どっちにしろ層があるんですね.層ができているという特徴はムーンストーンと同じですね.
しかしラブラドーライト内の層は規則正しく、薄く重なるため(ミルフィーユじゃなくてミルクレープ?)
光が差し込むと
散乱ではなく、薄層による
光の干渉を起こすらしいのです.
「
光の干渉」・・・んーまた頭痛い.自分がいまいち分かってないのでここで整理!
例えばラブラドーライトの光の干渉は下の図10のようになってるんだと思います.
中の何層にもなった境目に光が反射して反射して・・・重なって重なって・・・
図10

上の図10の現象をもう少し詳しく描いてみますね.
図11

■

2本の光は波長の重なり方によって、ギラーンとひかったり、不思議と光が消えてしまったり.
更に下の図12↓では光の1波長をズームアップして、山と谷を四季で表してみました.
図12

光の1波長は山と谷で1セットです.
ちょっと無理やりな例えなのですが1セットを一年と
してみますね.

図13
光がある物質に射したとします.
物質の中まで入り、次層で反射して表面まで来る

と、表面で反射する
の長さ.この長さによって光が強くなるか消えるか
が決まります.例えば2本の矢印の先端がそれぞれ
秋だった時は、波長の波の形が重なりますね.
今度はそれぞれの先端が
夏と
冬だった場合
合わさった光の波は交差する形となり、光は
プラマイゼロで消えてしまいます.
2本の歳(波長の数)は関係ありません.出会ったときに一体どの季節を過ごしているかが
問題なのです. そして光にはいろんな色があって、色によって波長の長さが違いまいたね.
上の図13を色別に描いて見ました↓
実際干渉をおこすには層の厚さが1波長分とか2波長分とかそのくらいの薄さだそうです.
下の画は適当に描いてまーす
図14

例えばこの図14のような角度で光が差したとき.
青の光の

が層の境目ではね返った波長と、

が表面で反射した波長の山と谷がぴったり
合って私達は青い色の明るい光を確認できます.
ところが青の光よりも若干波長が長い緑の光は・・・

が青と同じ角度から入って同じ距離を走り表面に出てきたとき、表面の

と合わさりますが
波の山と谷が交差する形になってしまいます.同じ距離を走ってもそれぞれの色で波の年数や
季節が違ってきます.この場合私達は緑の光を見ることができません.
同じものに今度は角度を変えて光を当ててみます.

図15

今度は、光が表面から入り→層の境目ではね返って→表面から出てくる
までの距離が図14とは違います.この場合緑の光にとってはピッタリンコな距離なのですが
青にとっては打ち消しあってしまう距離なのです.
私達の目はこのとき緑の光を確認するでしょう(翻訳ソフトのような言い回しですね〜)
「薄層による光の干渉」の結論は・・・
光の相乗や相殺は光の色によって、また層の厚みや入射角度によって違ってきます.
だから薄層のある物体を動かすと赤,オレンジ,黄色,緑,青,紫と虹の採光が見えるんですね〜
コレが「薄層による光の干渉」ってヤツ・・・かな?(あってますか?)
あ、この「物体」ですが条件があります.
1.層の厚みがちょうど良い.光の1波長より薄くてもダメ.
厚すぎると層に潜った光は吸収されて弱くなってしまい、出てくる頃には波の振れが小さく
なってしまいます.これでは表面で反射している波の形(山の高さ谷の深さ)と合いませんね.
2.層の境目がとにかくまっすぐ.だって曲がったりザラついてると反射角度が狂っちゃって
光が図のように走らないですもんね.
フィンランドはユレマ産の強烈な虹色を放つラブラドーライト=
スペクトロライトは層の重なり方や
厚みが完璧だそうです.ところで普通のラブは青やシアン&黄緑と、ほぼ単色に光るものが多いです
よね.あれは相当斜めからみると赤っぽく見えるのでしょうか??青や水色、黄緑、黄色の他に若干
オレンジっぽい色くらいまでなら見かけることができるのですが、ピンクや赤紫ってレアらしいじゃ

ないですか.この謎を訊いたのですが(訊いた人は物理専門で
鉱物のことは全く知りません)「分からないけど、そのなんとか
って石には赤っぽい光を吸収してしまう物質が含まれているの
ではないか」と言ってましたけどぉ.いや〜・・・
どなたかご存知の方いらっしゃいませんか?
ラブラドーライトの「光の干渉」は、このミルクレープの層の他に
磁鉄鉱などインクルージョンが関係
していると云われてますが実のところまだ
謎がいっぱいあるそうです.魅惑の石ですね.
あ、そういえば長石の学問上分類ではラブラドーライトなのに、ムーンストーンと同じような光を放つ
石がありますよね→
Feldspar.html#LABR あれはミルクレープの層がまっすぐじゃなくギザギザツブツブ
になってたりたりするので「光の干渉」が起こらず「
光の散乱」を起こしているのだとか.でもそれは
あくまでも一説であり、繰り返しますがとにかく謎に包まれているらしいです.確かに無色のラブラド
ライトの中で、青のボンヤリ光を出すものはムーンストーンと見分けが付きませんねー