鉄鉱類
パイライト,ヘマタイト,マグネタイト他
鉄鉱と言った場合普通は鉄の原料になる石を指すようで、鉱物とか岩石とかそういうカテゴリーとは
関係無く、別の括りになるそうです.この頁での鉄鉱石というのは、鉄を主成分とした鉱物を私が
勝手にまとめただけであります.もちろん本来の意味の鉄鉱石でもあります.ただ黄鉄鉱と白鉄鉱は
鉄鉱石として役に立たないそうです.
では下記に代表的な鉄主成分の鉱物を挙げてみますね.ほぼ鉄からできてる鉱物でも、いろいろな
マイナスイオンとくっ付くことによって鉱物学上では違うカテゴリーに分類されるようです.
例えば
ヘマタイトは三酸化二鉄なので同じ構造の
サファイアやルビーと同じカテゴリーになります.
マグネタイトは、ずばり
スピネルと同グループになるそうです.
パイライト&マーカサイトは硫化した鉄の結晶で辰砂(シナバー)などと同じカテゴリーです.


鉄鉱石類はよく別の鉱物にインクルージョン(内包物)として入ってますね.
有名なのがラピスラズリのパイライト(黄鉄鉱)入り.金色のキラキラです.右はレピドクロサイト
(鱗鉄鉱)入り水晶で
ハーレクインクォーツや
ファイアークォーツって商業名が付いてます.
●パイライト&マーカサイト(黄鉄鉱&白鉄鉱)

パイライト(黄鉄鉱)とマーカサイト(白鉄鉱)は、硫黄と鉄が
くっ付いた硫化鉄の鉱物です.2者の成分は全く同じで
同質異像鉱物といいます.例えば有名なところでは
「黒鉛とダイヤモンド」の関係と同じような感じですが
2つの硫化鉄は簡単に入れ替わることが可能らしいです.
マーカサイト(白鉄鉱)を450度で熱するとパイライト(黄鉄鉱)に
変身します.なぜこの2つを『石のお話』に載せたかというと
私の経験の中で唯一劣化というか化学反応を目の当たりにした鉱物だからです.他の章で「光に弱い」
だの「キズが付きやすい」だの申しておりますが実際まじまじと体験したのはこの鉱物だけです.
えーっと結論から申し上げますと
水に弱いのです.マーカサイトはカナヅチなのです.
パイライトは安定しているらしいのですが、マーカサイトが化学反応を起こすには空気中の水分で
充分です.普通に保管しておりましたある日、ふと見るとパイライトが白い粉を吹いておりました.
中にはパックリ割れているものも・・・その粉の正体は「硫酸パウダー」だったのです.

ッダーン!

パイライト(黄鉄鉱)は安定していると書いたのですが、私の持っていたものはパイライトでした.
いや「パイライト」と売られていたのを信じて「パイライト」として購入したものです.
多分マーカサイトの成分が残っていたのでしょう.心臓が飛び出すかと思いました.
(でも実は最初は硫酸と知らずに摘んで舐めました.無味ですし、私今のところ無事です)
アンティークジュエリーなどでマーカサイトを多用したものがありますが、こちらは実はパイライト
だそうです.だから心配ご無用ですよ!多分ね…フフフ
ただもし「パイライトのアクセサリ」としてご購入されたものがマーカサイトだったら?
エビヤでは安全確認のため、ただ今新しいパイライトのビーズを寝かせております.
「放置」とも言います.もう少ししても変化ないようでしたら、堂々デビューさせて下さい.
●ヘマタイト(赤鉄鉱)

酸化した鉄からなる鉄鉱石.赤錆.そして鉄の原料です.
ビーズではガンメタ色のが有名ですね.採れるときの形は色々
だそうです.ただどんな形をしてても不思議なことに粉砕して
粉にすると赤くなるそうです.やったことないけど!
これがヘマタイトの本当の色、
条痕色だそうです.
和の伝統色「弁柄」ベンガラって、このヘマ粉のことらしいです.
ヘマタイトって聞くと肩こり用の?とか安っぽいねとかそんなイメージがありますが、実はヘマタイト
はOX醤並みの隠し味調味料なのです.いろんな鉱物に入り込んで赤い色や趣を加えています.
有名なところでは
カーネリアンの赤色の原因や
サンストーンのキラキラのラメ.

たま〜にエビヤで使う、左画像の縞々ビーズ.
あまりにもサイケで使いこなせず、まだまだ手元に残ってます.
あんまり見かけない天然石ビーズでしょう?
この赤黒縞々に
虎目石が入れば
アイアンタイガーと呼ばれます.
アイアンタイガーの産出はオーストラリアだけだそうですが、でも
虎目石を含まない縞々は、ココ掘れワンワンで掘れば結構な割合で
出てくる
縞状鉄鉱っていう鉱石質の堆積岩かも知れません.
調べ物をしていた際このビーズにそっくりな縞状鉄鉱標本の写真を
発見しちゃったんです.エビヤの店には「ヘマタイト混のレッドジャスパー」と記載してします.大雑把に
言えば多分そんなところだと思いますが、細かく言えばジャスパーじゃなくて
岩石だそうです.
ある時代は酸化鉄が堆積するのみの環境で黒い部分(ヘマタイト)を作り、また別の時代の環境は周りに石英
成分が豊富にあるので酸化鉄に石英が浸み込んでレッドジャスパーの部分を作りだし、そうやって堆積して
いったのかな〜と.分からないことだらけですが、太古の浪漫が広がります.因みに下の写真が正統派の
レッドジャスパーです.
●マグネタイト(磁鉄鉱)

ビーズに関係なさそうな鉄鉱石ですね.弱磁気を帯びた黒錆
だそうで粉になれば砂鉄の一材料になるそうです.私達がこの
鉱物にお目にかかる機会で一番多いのは、多分
ラブラドーライト.
マグネタイトはラブラドーライトの中に内包され、あの不思議な
光に一枚咬んでいるらしいんです.
ビーズにおいてラブラドーライト以外ではあまり聞かない磁鉄鉱
ですが、個人的にちょっと興味があったので載せてしまいました.
この頁の一番上で書いたとおり、マグネタイトってばスピネルの仲間なんですって!
スピネルといえば有名な「
黒太子のルビー」(←外部リンク)ですよね.あのキレイな宝石と同グループ?
はい.マグネタイトは
スピネルグループに属する鉱物だそうです.結晶構造が全く一緒らしいです.
宝石のスピネルと呼ばれるものは四酸化マグネシウムと四酸化アルミがミックスされた(
固溶体)
石らしいですが、四酸化鉄であるマグネタイトも他の同じ構造を持つ四酸化鉱物と混じりあって
個溶体を作り出すそうです.マグネタイトが
端成分の固溶体は、残念ながら宝石のスピネル固溶体とは
互換性がなく別系列の「スピネル」になるそうですが、れっきとしたスピネルグループの鉱物です.
●鉄錆?(褐鉄鉱)
リモナイト(褐鉄鉱)は水酸化鉄です.スイサンカテツって名前は難しいですが、ようは含水の鉄=鉄錆.

私が
カーネリアンと呼んできたオレンジ〜茶系の玉髄は、実は
このリモナイトによる発色のようです.これらの真っ赤ではなくて、
リモナイト発色の茶渇色系玉髄は本当は
サードという名前らしいです.
写真は「マダガスカルカーネリアン」として売られてもの.一連の中に
鮮やかな朱色やどす黒い赤のカーネリアンと、写真のサードの色合い
の珠がミックスされて売ってました.余談ですが、水酸化鉄はン百度
で熱すると脱水して残りの鉄分はヘマタイト化するそうなんです.
焼き加工がされてる人工的に赤くなったカーネリアンは、リモナイトがヘマタイト化したのでしょうか.
でも玉髄の中で脱水した水は何処へ?と考えると、ただ単にリモナイトの色が変わっただけなのかとも
思えます.リモナイト(褐鉄鉱)とは、実は次に挙げるお馴染み鉄鉱の集合体名なので固有鉱物名では
ありません.
ゲーサイト(針鉄鉱)&
レピドクロサイト(鱗鉄鉱)
●ゲーサイト(針鉄鉱)&レピドクロサイト(鱗鉄鉱)
上で書いたとおり、二つとも水酸化鉄です.何故名前が違うのかと申しますと結晶構造に違いが
あるようです.組成式は「
FeO(OH)」で表せるのですが、針鉄鉱をα-FeO(OH),鱗鉄鉱をγ-FeO(OH)
とするようです.因みにβ-FeO(OH)の名前は「アカガネアイト」(笑)いや冗談じゃなく...赤金山
で発見されたかららしいですよ.和名の
針鉄鉱の字の通り、ゲーサイト(ゲータイト)は針状になって
ることが多いですよね.本来の色はイエローオーカー(黄褐色)らしいですが、温度やペーハー値など
何らかの影響によって赤黒く変色したもののほうが、ビーズの内包物としては多く見かけますよね.
レピドクロサイトも
鱗鉄鉱の和名の通り、鱗片状の形で確認されることが多いようです.レピドクロ
サイトの元々の色はダークオレンジ系統の色だそうです.下の写真は黒いゲーサイトの入った水晶.
スーパーセブンという流通名のビーズでした.

針鉄鉱も鱗鉄鉱も格好いいディープレッドや鮮やかな赤色のものが水晶に入ると、インクルージョン
としてもてはやされますが、集合体のリモナイト(褐鉄鉱)になると放置工事現場のような錆色の塊石
の写真ばかりヒットします.リモナイトには哀愁感じちゃいますね.